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コラム ~燈々無尽~

燈々無尽

このコラムは高千穂町の広報誌にも「病院だより」として掲載しています。

第3回

「ロコモ」にご用心!

整形外科医 塩月康弘
高千穂町広報誌2013年10月号掲載分

ロコモティブシンドローム(以下ロコモと略)とは運動器の障害によって介護、介助が必要な状態になっていたり、そうなるリスクが高くなっていたりする状態をいいます。運動器を構成するものには骨、関節軟骨、椎間板、筋肉、神経が含まれ、これらが連携することで歩行が可能になっています。
我が日本は世界有数の長寿国として知られています。2004年のWHOの報告によりますと、平均寿命は男性78.4歳(世界第2位)、女性85.2歳(世界第1位)です。ここで質問です。「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか?これは日常生活において心身ともども自立した期間のことをいいます。つまり移動、食事、入浴、トイレなど身の回りのことがすべて自分でこなせる期間のことです。健康寿命は男性が72.3歳、女性が77.7歳で、平均寿命と健康寿命との差が7年前後あることがわかります。この約7年というのは介護、介助を要する期間であり、人生の幸福度を考えた場合、健康寿命を延ばすことが重要です。
介護が必要となった原因疾患は1位脳卒中(23.3%)、2位認知症(14.0%)、3位衰弱(13.6%)、4位関節疾患(12.2%)、5位転倒・骨折(9.3%)であり、4位と5位の関節疾患、転倒・骨折を合わせると1位の脳卒中に匹敵することがわかります(平成19年厚労省)。実はこの関節疾患、転倒・骨折こそロコモの主要な原因の一つなのです。関節疾患、転倒・骨折の例として変形性膝関節症、変形性脊椎症、骨粗鬆症、脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折などが挙げられます。なかでも大腿骨近位部骨折はその後の生活の質に最も悪影響をおよぼす骨折とされ、町立病院でも平成15年度からの10年間で462症例の患者さんを経験しております。
「ロコモ」も早期発見と予防が大事です。ご心配なあなた!一度整形外科へどうぞ!
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