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高千穂で健やかに生きるには -医療とどう向き合うべきか-

(さる平成26年10月25日土曜日に高千穂町武道館で行われた町民の集いで講演した内容を改変し、掲載します)

高千穂で健やかに生きるには

 みなさん、こんにちは、高千穂町立病院の院長のみたと言います。よく「みのだ」と間違われるので、覚えていただくとありがたいです。以前から、町民の集いで住民の皆さんに話をさせて欲しいと言っていたので、今回の機会を与えてくださった実行委員会の皆様にはこの場を借りて、御礼を申し上げます。
 今日の話は高千穂で健康に暮らしていくには医療とどう付き合っていくかという話です。おれは病気しないから関係ないとか、病気をしても延岡や熊本の病院に行って、町立病院にかからん関係ないと思っている人もいるかもしれませんが、年をとれば全く医者と無関係で生活できる人は少ないと思いますし、急病であれば、最初から遠方の病院に行けないかもしれません。都会の大きな病院が沢山あるところと違って、高千穂は個人の開業医も4件しかないし、普通の大きな病院は町立病院だけです。町立病院も入院治療はしますが、医師も少ないし、高度な医療はできないし、診療科目も限られています。急病になっても病気しだいでは高千穂では治療できないことも珍しくありません。都会なら死ななくて済んだのに高千穂だから間に合わなかったという人もあるでしょう。しかし、そういうことが嫌でも簡単に故郷を捨てて都会に行かない人がいっぱいいます。
 医療が不十分なところで健やかに生活するには、医療の充実した都会での生活と違ってそれなりの心構えや考え方が必要です。田舎では病気にならないように、また病気になったとしても高千穂で治療できる程度に悪くならないように知恵を働かせて生活しなければなりません。

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 いきなり、死の話で恐縮ですが、人間は必ずいつかは死ぬので、極端にいえば、全ての人が生まれた時から、死に向かって人生を過ごしているということもできます。しかも、死ぬのも1回きりで、漫画や映画のように何度も死んだり生き返ったりできません。結婚や離婚のように何回もできないのです。不幸に生まれても幸せな人生を送り、幸せに死ぬ人もいれば、幸せに生まれても不幸な人生を送り、不幸な死に方をする人もいるでしょう。人にはいろんな人生があり、いろんな死に方があります。しかし、みんなが高齢まで生きれる時代になり、理不尽な死は別にして、ある程度、共通コンセンサスとして運命論的な考え方、仕方がない的な、寿命でしょう的な考え方が必要になります。それをしなければ、これからの多死社会になった時に多くの混乱が生じるように思います。幸せな人生と人の死に際してくくることがよくありますが、一般的に言えることは自分らしさを全うした生き方が死ぬまで貫けれれば、ひとまず幸せな人生だったと言えるのではないでしょうか。世の中には、お金に執着する人もいれば名誉欲しがる人もいるし、女性や酒やギャンブルが好きな人もいるでしょう。十人十色という言葉もありますし、人生いろいろという歌もあります。世界にひとつだけの花というSMAPの歌がありますが、100人には100の個性や人生が有り、どれひとつ同じものはないのです。だから、人と比べて劣等感を持つとか、優越感を持つとかは、本質的にはあまり意味のないことで、人生の早いうちに自分らしさにや自分のいいところ、才能に気づいて、自分らしく生きることが大事と思います。そして、自分らしく生きることができた人は、望む場所で自分らしく死ぬことが必要なのではないでしょうか。

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 これは高千穂町でなくなる人の死因の内訳を示したスライドです。年度によって怪我や老衰や自殺、事故などの順番は少し変わりますが、がん、脳卒中、心疾患や肺炎などの呼吸器疾患でほとんどの人は亡くなっています。全国的な結果もほぼ同じで、高千穂だけに特徴的なものはありません。がんの場合は少しづつ悪くなるので、本人も死ぬ覚悟ができ、家族も覚悟ができる時間があり、変な言い方ですが死の準備がしやすい病気です。脳卒中は助かっても体の麻痺や精神障害が残って不自由な生活をしなくてはなくなったり、寝たきりになる危険性も高いです。心臓疾患は急死することも珍しくなく、一番ピンピンころりになりやすい病気です。しかし、急死なので普段から覚悟ができていないと、本人も家族も悔いが残りやすいのも事実です。

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 これは死亡原因の第一位であるがんの今年の死亡者数と患者数の臓器別予測のグラフです。患者数は胃がん、肺がん、大腸がん、乳癌、前立腺がんの順に多いですが、死亡者数はやや順位が変わって、肺がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肝臓がんの順になります。乳がんや前立腺がんはかかる人は多いですが、死亡順位は下がるので、結構、治っている人も多いことを示しています。がんは少しづつ治療が進歩し、治る病気に近づいています。がんは高齢者の病気であるため、増えたのは長生きする人が増えたためです。昔は平均寿命が短かったので、ガンになる前に他の病気で死んでいたことも理由の一つです。

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 これは主要死因別死亡率の年度別変化です。明治時代から太平洋戦争を挟んで2009年までの変化を示しています。このようにしてみると、太平洋戦争を挟んで、死因が大きく変化したのがよくわかります。 明治大正終戦までは肺炎や結核、胃腸炎などの感染症が多く、戦後は徐々に死因が大きくかわり、がんがどんどん増え、ダントツの死因になっています。 平均寿命の伸びに一致して、心疾患や肺炎も増えています。昔は衛生状態が悪くて肺炎が多かったものが、現在は高齢化に伴い、ご嚥が原因の肺炎が増えています。いわゆる生活習慣病が原因となる心臓の病気が増えているのも現代の特徴です。

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 死因が大きく、戦後変わったのと同じく、大きく変わったのが、病院死の増加です。終戦後の復興直後は8割の人が自宅で亡くなって、2割の人が病院や診療所で亡くなっていましたが、昭和47年の福祉元年と呼ばれる70歳以上医療費全額無料化のあたりで病院死と自宅死が入れ替わりました。これは医学の進歩とともに有効な治療が開発されて入院治療が主体となり、結果的に治る人も増えた反面、病院でなくなる人も増えたものと思われます。そして21世紀になる頃から、病院死が8割、自宅死が2割と完全に逆転しています。国の方向性が在宅療養、在宅死になっているのは、将来、高齢者がマックスに増えると亡くなる人が今の1.5倍になると言われていますが、死者の増加に対して、病院では対応しきれないだろうということが大きく関係しています。また、病院死は治療をめいっぱいした挙句なくなることが多いので、医療費が増大すること、国民のアンケートでも自宅で死にたいという人がふえていることなどの理由から在宅死の方向に持っていこうとしているのです。

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 この国が推し進めている在宅療養や在宅死に対応する仕組みが、この地域包括ケアシステムです。地域で暮らし、病が治らない状態になったら医療が必要になってもまた要介護になっても安心して地域で。というメリットがうたい文句です。しかし、将来国が誘導しようとしている自宅死と昔の自宅死は、状況や社会背景が全く異なっており、同じように在宅死を増やすことができるかどうかはわかりません。 昔の自宅死は医学もまだ未発達で多くの病気が有効な治療がほとんどなかったことや家族で介護する体制がまだ残っていたために入院の必要もなく、かかりつけ医の往診をしてもらいながら自宅療養でなくなっていたわけです。実際、私の父方と母方の祖父も家族が自宅で介護しながら自宅でなくなっており、最初から入院という選択肢は両親にはなかったように思いますし、延命のための入院という発想もなかったように思います。当たり前のように自宅で見送りました。 しかし、昔のそうするしか仕方がなかったというかそれが当たり前だった自宅死と違って、地域包括ケアシステムを使って、自宅で自分らしく死ぬことを選択することは、今からの成熟した時代にふさわしい死に方ということができるかもしれません。 高齢社会になり、町立病院の立ち位置も当然、社会的ニーズを踏まえたものになる必要があります。そこで、今年の4月から、病院の基本理念の求められる役割に合わせた新たな基本理念を制定しました。また、ここには示しませんが、それを実現するための基本方針も6項目新たに制定しました。

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 スライド下に以前の基本理念を示しています。住民の皆様に安全で質の高い医療を提供することは変わりませんが、新たな理念では地域包括ケアシステムの推進ということを明確に打ち出しました。 すなわち急性期の患者を治療する一般病棟だけでなく、治療が終わった後の回復期を支える地域包括ケア病床、その後の慢性期を支える療養病床などを有する、病床機能のミックスした病院に変わっていく必要があります。 さらに、これまで病院に来る患者さんだけを治療していた受身の町立病院から、街は大きなホスピタルという考えから、いろんな形で積極的に地域に出て行き、住民検診など予防事業の拡大、出前講座による住民への健康啓発活動、訪問診療、訪問介護、在宅看取り、施設訪問や施設看取り、病院を広く住民に知ってもらうためのイベント開催など、町の保健センター、包括支援センターと組んで多彩な活動を始めています。

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 さて、地域包括ケアシステムの実現のためには、病院としての新たな病院の基本理念にしたがって、病院の役割を多様化させて行くだけでは、不十分です。 それでは、その他には何が必要かということです。このスライドに示すように、 地域包括ケアシステム構築には、重要な2本柱があります。一つは住民の自助努力を促す健康意識改革、もうひとつが、介護、福祉、保健体制の整備充実と医療との連携強化です。

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 それでは、現時点で住民のみなさんのひとりひとりの自助努力は少しはできているでしょうか?あるいは病院の診療体制は万全と言えるでしょうか?

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 このスライドに書いてあるように医師の安定確保が十分に出来ていないのが現実ですし、病院運営が赤字であることは町の広報誌にも時々出ているので、ご存知の方が多いと思います。とは言っても、病院の診療は普通にやってますし、年中無休で24時間救急対応は行われています。また、医師数が激減したわけでもありませんが、しかし、現実は綱渡り状態です。このような話を院長自らお話するのは、地域包括ケアシステムを構築するうえで大事な病院の現実を住民の皆さんに知ってもらって、病院を守るために協力してもらいたいからです。

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 これが現在の町立病院の医師確保の現状です。 常勤医師は全員で10名です。内訳は外科の私もそうですが、2名が熊大消化器外科の派遣、整形外科の1名が宮崎大整形外科の派遣、宮崎県の自治医大卒医師の派遣が3名、定着医とも言いますが、派遣からそのまま就職になった医師が内科1名、小児科1名、整形外科1名、外科1名です。黒字で示されたところが非常勤医師による外来です。耳鼻科、眼科、泌尿器科、神経内科、循環器科、透析科の6科あります。以上のように、医師確保は熊大、宮大の大学医局の派遣と宮崎県の派遣と定着医師、非常勤は大学医局派遣と済生会熊本からの派遣です。 医師派遣は突然してもらえなくなることはありますし、あるいは定着医師がやめたら、途端に大きい影響が出ます。医師数が少ない病院は医師ひとりあたりの業務量が多いため、辞めると残った医師の負担が急に増えて、それに耐え切れなくなった医師がまた辞める、ドミノ連鎖が起こることです。医師が100人いてひとりやめるのと10人いてひとり辞めるのでは、同じひとり辞めるといっても影響が全く違うのです。

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 また、常勤医師は10名ですが、通常診療とは別に平日と日曜日の夜の当直を1ヶ月あたり、3~4回していて、当直明けも通常診療をしています。あと、五ヶ瀬町立病院から日曜日の当直依頼があって、月2回応援に行っています。 非常勤の専門外来は毎月のべ59人の派遣があり、祭日の日当直も年間のべ15名の派遣があります。このように熊大を中心とした多くの医師応援で診療は成り立っています。とくに非常勤外来の応援医師数は莫大になっており、経費も相当額になっています。

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 これは町立病院の診療の特徴と問題点です。 まず外来ですが、医師数に比べ、患者数が多いです。平均外来患者数はのべ約400人ほどになります。私が以前勤めていた済生会熊本病院の外来患者数に匹敵します。高千穂は診療人口からすると内科系の個人開業医が10件は必要ですが、実際は4件しかなく、2件は先生も高齢化しています。したがって町立病院は個人開業医の役割も果たしています。病院にしては軽症の生活習慣病や軽症腰痛、膝痛などの患者さんが多いのはそのためと考えられます。限られた医師数で診療しているので待ち時間が長くなりますし、待合室が狭いなどのおしかりを時々受けます。待ち時間の長さを解決するには医師数が増やすか、時間予約にするかですが、前者は簡単なことではありませんし、後者はふれあいバスや出勤する家族に送って貰う患者さんが多いので、予約時間が重なって完全導入できません。 入院ですが、内科は入院患者がかなり減っています。この原因として患者さんの要求が専門医療と療養医療に二分化しているため、一般病床のみの町立病院の病棟が受け皿になっていないことと、町の人口が以前に比べて減少していることが考えられます。また、入院患者さんの高齢化で介護の必要な患者さんが増えて、手がかかる患者さんが増えています。また、重症患者さんも医師不足が原因で、当院では入院が限られ、延岡や熊本に搬送することが多いです。

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 これは町立病院の入院病棟全体120床の毎月当たりの病床利用率、すなわち全病棟のうち何床に患者が入院しているのか、そのパーセントを表したものです。 長期低落傾向にあり、10年前まで90%の病床が利用されていたのに、徐々に低下し、今年は70%を下回る見込みになっています。当院の病棟は利用率10%で約1億円強の収入があるので、この十年前に比べ、入院収入が単純計算で約2億円以上の減収になっています。とくに内科病棟の落ち込みが激しく、半分位のベッド数しか入院していません。利用率を上げるには入院患者数を増やすか、長く入院させて利用率を上昇させることが必要なことをデータです。

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 長く入させる方法が病床の利用率を上げるのに最も手っ取り早い方法ですが、町立病院はこのスライドで説明する理由で、長く入院させることができません。しかも悪いことに今年の診療報酬改定で長期になっても除外が出来ていた特定の病気が除外できなくなりました。町立病院には、現在、一般病棟しかありません。一般病棟は介護の必要に関係なく、治療が必要な病気の患者しか入院できません。一般病棟は、現在の10対1の看護基準では毎月の全患者の平均入院(在院)日数が21日以内と決まっているため、長期入院患者が増えると21日以内が維持できなくなります。そのため、入院が長くなるとベッドが空いていても退院をせかされるのです。

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 以上のような問題を解決するために、内科病棟60床を療養病床に転換の予定ですが、国の方針もあり、療養病床も有効使用のため、在宅復帰を推進しますので、在宅と病院の行ったりきたりになる場合もあります。 病院を守り、地域医療を守るために、先ほど説明したように医者の数もベッドの数も限られているので、町民の皆さんに心がけて頂きたいことをお願いします。 病気は予防が大事です。病気になった場合も早めに受診して下さい。軽症や急病以外は、出来るだけ時間外受診は控えて下さい。病気の診断や治療の結果は、個人差があり、不確実性があります。なぜ、治療が悪いように言われて困惑することもあります。予防的に風邪薬や湿布を要求するのもホントはダメなんです。また、血圧を測ったら低かったので、血圧の薬をやめたり、勝手な服薬もいけません。同じ病気で複数の医療機関にかからないや、タクシーのように何台もないのでタクシー代わりの救急車使用もやめてください。来年4月から高千穂、日之影、五ヶ瀬の広域消防ができますが、今、そこの武道館の横に西臼杵消防の建物がかなり出来ていますが、本当に必要な時に足りなくなります。また、ジェネリック医薬品を使用する。かかりつけ医をつくり、安易な病院受診を避けることも大事なことです。虫刺されで夜中に時間外受診などをされるとほんとに疲れます。

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 お住まいの地域のかかりつけ医を持っていますか?かかりつけ医とは普段自分がかかっていて、何でも気楽に相談できるお医者さんです。前のスライドにもあったようにかかりつけ医を持つことは地域でうまく医療と付き合うためにも地域包括ケアを実践する上でも極めて重要です。なぜかかりつけ医を持ったほうがいいのかは以下のような理由からです。

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 病気や健康状態が総合的に相談できます。家族の健康状態も相談できます。適切な専門病院を紹介してもらえます。必要に応じて訪問診療や介護サービスにつないでくれます。急病の時もかかりつけ医の紹介があると無駄な検査をしなくて済むことがあります。介護保険申請の主治医意見書はかかりつけ医に依頼した方が最適です。今からは皆さんが自分で頑張らなければならない話です。

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 ひとりひとりが健康長寿の重要性を自覚し、健康増進に自助努力をしていますか?病気予防や健康の維持は医師や病院任せだけではダメです。

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 ピンピン老後と寝たきり老後の分かれ道となる食事や運動や生活の注意点を説明しましょう。バランスの良い食事で腹八分でメタボ予防、適度な運動(歩くことで十分)でロコモ予防しましょう。積極的な社会活動の参加をしましょう。認知症予防になります。今日のような会に出てこない人が心配です。 ストレス発散と適度な休息、十分な睡眠をとりましょう。禁煙しましょう!飲酒は適切に適度な量を!。定期健診で健康チェック!予防が重要です。 とにかく、高齢社会に突入し、健康を守るために自助努力が必要な時代になってきました。、 特に地域包括ケアを構築するのに、医師や病院任せでは、本当の予防や健康維持は掛け声だおれになってしまいます。特に食事に注意したり、運動を心がける、趣味を持つ、生きがいを持つことがピンピン老後と寝たきり老後のわかれ道となることを肝に銘じていただきたいと思います。

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 寝たきりの原因を見てみましょう。脳卒中が最も多く、認知症、衰弱、廃用症候群とも言います、使わないので弱ってしまうということです。あと、パーキンソン病や転倒骨折があります。

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 寝たきりの予備軍としては近年ロコモティブシンドロームが注目されています。 骨粗鬆症、変形性膝関節症、変形性腰椎症、サルコペニアと呼ばれる筋肉減少症などがあり、ロコモになると寝たきりになる可能性が高くなりますので予防が大事です。

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 とにかく、健康で長生きが大事です。現在、大まかに平均寿命マイナス10歳が健康寿命となっています。したがって男は70歳、女が73歳です。寝たきりで長生きしても、つまらない人生になってしまいます。

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 がん、感染症、メタボ、認知症、ロコモなどは国民病ともゆうべき、多くの日本人が苦しんでいる疾病ですが、これらを予防することが取りも直さず、健康寿命を延ばすことにつながります。健康日本21という政策が推進されています。 ところでここで質問です。

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 ○親が、自分が、配偶者が ○年をとったら、 ○病気したら、 ○介護が必要になったら、誰が面倒を見ますか? ○死んだら、 どうなりますか?どうしますか? 財産相続は?借金は?お墓は? 家族できちんと相談していますか? ある程度、時間をかけて相談しないと難しいものばかりです。特に死に関する話は、縁起が悪いということで、なかなか話しにくいものです。昔から日本には言霊信仰があり、言葉には霊が宿っており、不吉な言葉を口に出すと不幸を呼び寄せる的なことを思っている人は少なくないようです。そういう人にとっては自分の死に方の話などとんでもないと思われるか、話したくないと思われるかでしょうが、頑張って家族と話しておくべきです。

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 最初にも述べたように、自分らしい生き方をして、自分らしい最後で有終の美を飾るためには、それなりの準備が大事です。そしてそれがきちんと実行されるように家族にきちんと同意を得ておく必要があります。医療をどうするか延命治療はそうするのか、などの事前指定書やエンディングノートが有名です。宮崎県でも最近、ふれあいノートというのを作っています。介護が必要になったとき、施設か自宅か、葬式は、お墓はなどがあります。そして財産がある人は相続の問題もありますね、相続を争う続と書く、相続にならないようにしておくことが大事です。

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 近年、安らかな死は医療に頼らないほうがよいという、医師の書いた本が次々とでて、ベストセラーになっています。どれかは読まれた方もいらしゃることでしょう。高齢社会で老人が増えたため、結構、死の問題は関心が高くなっています。高齢者の関心を集める本を書けば、簡単にベストセラーが生まれる時代になっています。これらの内容は、一般の人に話をわかりやすくするために、断定的に書いてあって、どうかなと思うところがある反面、私から見ても正しいところも有ります。頼りすぎると自分らしさを見失ったり、自分の思いとは違う方向にいってしまうことがあるのも事実です。

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 平均寿命を超え、安らかに納得した自分らしい死に方をすることが大往生です。 大往生をするために必要な準備は死に対する覚悟、死の受け入れをする必要があります。よく言われるように苦痛がないようにかかりつけの先生にしてもらい、死んでも、死んだ両親や兄弟、親族に会えるとか、次の世界があることを思えば、死ぬことが怖くなく、楽しく思える場合も出てくるでしょう。命を医療や家族に任せきりにしないことも大事です。事前指定書が実行されない可能性が出てきます。自分らしい生き方/死に方(死生観)などを普段から考えて、頭の中でイメージしておくことも大事です。最後に死に方の共犯者となるかかりつけ医を持つことがやはり極めて大事です。普段からかかりつけ医に死生観を話しておくと、カルテにそのことが記載されていれば、大事な本人の意思表示の客観的証拠となり、本人の意識がなくなった場合に家族が勝手に延命措置をしようとすることから守ってくれる可能性もあります。

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 大往生には高度な医療も大病院も必要ないです。かかりつけ医をもって自分の最後を、自分の意向を相談しておきましょう。自分らしさとは自分が最も納得できる形で最後を迎え、自分がなくなったあとも、自分の思いが貫けていることです。

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 最後に心配なスライドをお見せします。90年後には高千穂は消滅するというデータです。消滅自治体と言われながら、行政が我々が何の手も打たなければ、こうなるという、データに基づいた話です。こうならないように自分たちでこの悪い流れを変える必要があります。

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 結局、高千穂で健やかに生きるためには、地域包括ケアシステムとか難しい話ではなく、今日の町民の集いのテーマにもある、住民一人ひとりが生きがいを持って、健康に気をつけながら、元気に過ごし、活力あるまちづくりに参加していくことであると思います。地域包括ケアシステムづくりは、住民一人ひとりが主役であることを最後に強調して、今日の話を終わります。 最後に少し宣伝があります。 11月22日土曜日に自然休養村管理センターで町民公開講座「住み慣れた地域で自分らしく生きる」というテーマでやりますので興味がある方は是非、ご参加をお願いします。 ご清聴ありがとうございました。

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