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コラム ~燈々無尽~

燈々無尽

このコラムは高千穂町の広報誌にも「病院だより」として掲載しています。

第46回

当直研修医

副院長 塩月 康弘
平成30年7月

 私が宮崎医大整形外科教室へ入局したのは平成5年の春でした。当時、右も左もわからないペーペーだった私ですが時の経つのは早いものであれから25年、今では整形外科専門医の資格を持ち後輩の指導にも携わっております。年齢に関係なく大学病院を含めどの病院に勤めても必ず当直がありまして、ふと思った事にこれまで当直した日数を合わせても丸3年にも満たないことに気付きました。つまり「当直医」としては研修医程度の経験年数でしかないのです。では当直専門医といった資格があるのかといったらそんなものは存在しません。強いて言えば総合診療医がそれに当てはまるのかもしれませんが、実際にお会いしたことがないのでかなり希少な存在と思われます。
  
 この記事で何が言いたいのかといいますと、医師の立場からは「当直は怖い」ということです。自分の専門分野以外のあらゆる患者さん、あらゆる病気への対応を迫られるのです。医師としての経験年数が長くなっても、当直の時にはいつも研修医のようにハラハラドキドキしています。
  
 さらに怖いことに、時間外に歩いて来院される患者さんの10人に1人は重症者(あるいは重症化する)が紛れ込んでいるといわれているのです。そこを見逃すと患者さんご本人、ご家族、医療サイドの全てが不幸に見舞われますので十分に注意して診療にあたっているつもりではありますが、やはり限界はあります。時間外では病院自体のマンパワー不足のため、検査するにしても技師さんを呼び出す時間が必要ですし、頭部や胸腹部のCT画像を見るにしても私の目で見るより内科・外科の先生の目の方がはるかに正確な診断が可能です。緊急で処置や手術、転院搬送が必要な場合でも日中ならスムーズに事は運びます。つまり日中から症状のある方は日中に受診していただく事が、ご自身の利益となるのです。
  
 誰しも病院になんか行きたくないと思います。それでも来院されるということは何らかの不安や痛みを抱えて来られているのだとも思っています。当直の時でもそうした患者さんの不安や痛みに寄り添う気持ちを忘れずに診療に当たっておりますが、できれば早めの受診をお願い致します。

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