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研修医奮闘記

研修医奮闘記

当院にて地域医療研修に参加した研修医のコメントを掲載しています。

平成28年7月

高千穂での研修を終えて

瀧井 稔
宮崎大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター

訪問先から撮った風景「分け入っても分け入っても 青い山」
この句は俳人である種田山頭火が高千穂に足を踏み入れる際に詠んだ句と言われる。
高千穂町国民健康保険病院での研修の間、様々な訪問診療に同行させていただいた。
往診、訪問看護、訪問リハビリ、地域連携、地域包括等その職種は様々である。
患者の自宅に向かう道中は、さながら山頭火の句のようである。この先に本当に誰かが待っているのか…少し疑ってしまうような山道を行くことも多々ある。
山道を抜けると小さな集落があり、そこに100歳に近いもしくはそれを超える方が住んでいたりする。そんな人たちが医療の提供を待っている。
ただ、そこで待つ人々の表情は一様に明るい。その笑顔に時々こちらが癒されるような気持ちを抱く。超高齢化を迎えたこの高千穂で、このような笑顔を作り守るのは間違いなくここで医療を支える人々の力も一因であることは、まごうことなき事実であるとひしひしと感じる。
その一方で、小児の検診に入らせてもらえば高齢者だけではなくこの地に息づく若い命も知る。超高齢化とは言え、ここで産まれ育つ命もあるのもまた事実であり、それを支えていくためにも医療の存在は欠かせないものである。
 
俗に僻地と言われる場所ではマンパワーが足りないというのは避けようのない現実である。それは医療の世界だけに限った話ではないであろう。しかし、誰かが支えねばならない、この足りない人材の中でも支えていかなければならない。そんな強い思いをこの1か月の研修の間にかかわって下さった人々の姿に感じた。そして、それはこの地を愛するが故の事であるとも思う。その土地を愛しその人々を愛することが地域医療の原点なのかもしれない。1か月というこの研修期間で自分ができたことなんて数少ないが、ここで心身で感じたことはいつまでも忘れたくはない。それが必ずや将来の自分の糧になると強く信じている。そんなことを思いながらこの文章を綴る。(写真は訪問先から撮った風景)
 
最後に、お忙しい中私の研修のために時間を割いて下さった院長の久米修一先生、押方慎弥先生、佐藤医院の佐藤元二郎先生をはじめ、先生方スタッフの方々に心より感謝申し上げます。1か月間という短い時間でしたが本当にありがとうございました。

 

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